カメレオ ワンマンツアー2014
『ハイカメさんが通る』

11/29 ペニーレーン公演 ライブレポート

開演までの数十分、ホール内にはJ-POPのサウンドが賑やかに流れていた。知っている曲がかかると踊っているコたちがいた。かと思えばジッとステージを見つめ微動だにしないコもいる。メンバーがステージに登場するまでの一分一秒を大事に、自らの心のボルテージを高めているんだろう。2作目となるフルアルバム『ハイカラ』を引っさげての待望のツアーだ。どんなカメレオに出会えるのか、楽しみが止まらない。
HIKARU.はこう話してくれた。「ライブが始まる5分前、僕は今日が人生最後のライブなんだ、って考えています。後悔しないように最善を尽くす覚悟で臨んでいます」と。
さあ幕が開く。客電がOUTする。指にはめた、ブレスレットにした、髪飾りにした、グッズの『光る指輪』が暗闇に乱舞し、大層美しい。光の粒子がキラキラと輝きながらこの空間を染めていく。
Dr.のTakeshiから順にメンバーが表れた。Daisukeのラフな衣装にちょっと驚くが、5人が5様で一つにまとまることもカメレオの魅力だろう。最後にVo.のHIKARU.が登場すると場内の温度が2℃上がったみたいだ。

「サッポローォ!もっともっと盛り上がる準備はできてるかぁ!?」
1曲目の『で?』のイントロが流れ出すと、カメコとカメオは皆ジャンプ!ジャンプ!3曲目の『疑似コミュニケーション』でフロント4人のポジションが入れ替わり、客席を煽りまくる。動けないDr.のTakeshiは曲に合わせて表情を作っている。見ている人はどれだけいるだろう?リハーサル後Takeshiは「昨日の夜、ライブやMCのシュミレーションをしていたら気分が高まっちゃって、寝れなくなっちゃったんですよぉ」と言っていた。どんだけマジメよ、あんた(笑)!
MCを挟み「握りコブシをちょうだい!」と言って始まった4曲目は、久々の演奏となる『新宿』だった。ここで男女4名のダンサーがサングラスに黒スーツの姿で登場した。キレッキレのダンスとパフォーマンスで歌詞の世界をよりくっきりと浮かび上がらせたのが印象的だった。Kouichiのベースが跳ねる。カメレオのライブが楽しいのはKouichiのベースが下支えをしているからなんだよな。

続く『新人類』では、緑とライトブルーとピンクの灯りで、メンバーを妖しく照らす。ここは照明によって歌詞の世界観をステージに再現する試みだ。照明のスタッフは言う。「僕らはチーム・カメレオだと思っているし、現にライブの日は背中にそう書かれたポロシャツを着ています。リハーサルを重ねても急に本番で変わる時がある。それは“今日はこうした方がもっと楽しんでもらえる”とメンバーが独自の嗅覚で判断したからだと思う。だから僕はそれを光でバックアップしたい。大事なのはキッカケだけです。照明に関してはHIKARU.がたくさんのリクエストをしてきますね。なるべくそのアイデアを形にしたいと思います。このツアーはそのために機材も増やしましたしね」と。

2度目のMCでHIKARU.は「昨日上の階の人がうるさくて眠れなかったんだ。文句を言いに言ったらそこはTakeshiの部屋でさ、ドラムの練習をしてたんだよね」と言い、大きな笑いを誘った。けれど、それがTakeshiって人なんだな、って思う。
そしてTakashiに良く似た方による『お米さんジャンボ宝くじ』のコーナーが始まり、場が一気に和む。これまではペアチケット1組の当選だったが、今回は大盤振る舞いの2組の当選だったのだ。札幌だけ特別!なぜなら、、、アミューズ施設の入場券がかなり安かったから(笑)、、、。

  ここからは怒濤の後半戦だ。ダンサーを従えてメンバー全員が楽器を置きハンドマイクを持ってステージに並んだ。ソロパートもあり、全員が歌って踊る。楽しんでもらえるなら、喜んでもらえるなら、なんでもヤル!という心意気だ。ダンサーのYUZZYさんは言う。「1曲踊ってまた下がるので、出だしからハイテンションで動けるようにソデで準備しています。僕はドームクラスのアーティストさんの後ろでも踊っていますが、カメレオさんの“絶対に楽しませたいんだ!”という気迫は本当に勉強になります」と。

HIKARU.は“気持ち”を優先させる人だと思う。“僕らが今を楽しむ。結果、お客さんも楽しい”と、良い意味で後先を考えないからトバし過ぎて声が辛くなる時があるようだ。音響さんが言う。「HIKARU.の喉の調子を考えながら、左右のギターを含めてバランスをとっています。2年以上カメレオと共にツアーを回っているので、そこを理解して良い音をお客さんに届けるように考えていますね」と。彼もまた大事なチーム・カメレオだ。フロアを染色していくように、5人の放つ音と歌が滲んでいくのを見た。最高に気持ち良さそうに体を音に委ねていたお客さんの姿が印象的だった。煽ったのはお馴染みのたくさんのバルーンだ。

計14曲の本番。フロアの熱狂が鎮火するわけがない。盛大なアンコールが巻き起こる。
HIKARU.はMCでこう言った。「今回は満員に出来なかったし数字では苦戦している、だけどあきらめずにやっていきたい。限界の線引きはしない。越えるんだ!と挑戦していきます。次こそSold Out!そして道内ツアーに回るぞ!」と力強く。音楽が呼び起こすイマジネーションや感動の素晴らしさを痛いほど知っているカメレオ達だからこその宣言だった。そして音楽を通じて彼等が伝えたいことを、アンコールでは更に明快に歌ってみせたのだった。

札幌でのライブに新しい1ページを書き加えたこの日だった。それはカメレオが5人でページを綴ったのではなく、みんなで書きあげていくことで、この日のライブが成立していたということだ。現状を打破する気迫を確認し分かち合った日だった。いつか彼らが大きな大きなステージに立つ時、今日会場にいたみんなと綴ったこの1ページがあったからだ、そう思える日がきっと来る。そんな感動的で印象的なライブだった。それは、ライブの終了後、温泉に浸かった後みたいな清々しいお客さんの表情に一点の曇りもなく、フロアには満面の笑顔だけが咲いていたから確信できたことだった。                                       (文責:ペニーレーン24 大槻)